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生成AI BootCampから4ヶ月。ドール社員が50以上のアプリを自作する組織へ変貌した理由

社員が50以上のアプリを自作。AI活用を通して変わったドールの社内カルチャーとは

<写真>スタンフォード式生成AI Bootcampの修了書を受け取る株式会社ドール IT企画部部長 濱中功樹さん

株式会社ドールは、2025年12月に生成AI BootCampに参加した直後から、社内のAI活用を大きく進展させました。社内ハッカソンを開催して以来50以上のアプリケーションを集め、業務に活用するなど、具体的な成果を挙げています。

そんなドールも、以前はAIの浸透度が低く、どのように活用を進めればよいか、わからなかったといいます。そんな同社が、生成AI BootCampをきっかけに、どのように変わっていったのか? 経営者の立場からAI活用を重視するCEOの青木寛さん、社内のAI活用をリードするIT企画部の濱中功樹さんに、詳しい取り組みを聞きました。

株式会社ドール 代表取締役社長CEO 青木寛さん

株式会社ドール IT企画部部長 濱中功樹さん

ハウツーよりも考え方を学び実践する

江端:生成AI BootCampに参加した理由を教えてください。

青木さん:参加は私が決めました。

AIが社会に実装されていく中で、親会社の伊藤忠商事も、グループ共通の生成AI基盤を導入するなど、AI活用を推進してきました。以前はAIを遠い世界の話のように感じていた私も、触れるほどに便利さを感じていましたし、他の経営者と話をする中でも、使いこなさなければならないと考えるようになりました

ただ、その頃の社内でのAI活用は、検索の延長線程度で、浸透度は低かったと思います。トップの私自身がそれ以上のことを体験していないので、社員たちに使ってほしいと思っていても、具体的にどんな手を打てばよいかわかりませんでした。

そんなとき、生成AI BootCampを知ったのです。

本当は私自身が体験したかったのですが、あいにく開催日はすでに予定が入っていました。そこで濱中を参加させ、社内にAI活用を広めるエヴァンジェリストになってもらおうと考えました。

江端:生成AI BootCampが他のセミナーと違ったのは、どんなところですか?

濱中さん:最新のAIに触れ、使い方だけでなく、考え方を学べることだと思います。

講師のジェレミー(※)さんからは、AIを「ツール」として一方的に利用するのではなく、AIと「チームワーク」を築いて協働することが重要だと、教えてもらいました。使い方はAIが進化すれば変わってしまいますが、根本の考え方は簡単には枯れません。

また、講座の中で学んだことを、形にしてアウトプットするという実践的なプロセスが、とても勉強になりました。単に生成AIのハウツーを教えられるだけなら、会社に帰っても何もできなかったと思います。

AIでボトムアップのカルチャーがうまれた!

江端:受講後、社内ではどのような変化がありましたか?

青木さん:まず濱中自身がインスパイアされたことが、大きかったと思います。自分で考えて、社内でAIを浸透させるための施策を、いろいろ提案してくれています。

濱中さん:やはり自分で体験しなければ、わからないことがあるのだと思います。社内の期待が向けられていることも感じ「自分がやるしかない」と感じましたね。

ジェレミーさんに学んだことを持ち帰って話すと、青木社長も提案をどんどん前に進めてくれました。

具体的には、社内であまり使われていなかったMicrosoft 365 Copilotの有効活用を提案しました。みんなにAIを体感してもらい、社内の文化を醸成した後で、Microsoft 365 CopilotのEnterpriseプランを全社に導入するロードマップを描き、実現しました。

また、Bootcampの3ヶ月後、2026年2月にはバイブコーディングによる社内ハッカソンを開催しました

江端:社員のみなさんがアプリを自作するとは、かなり進んだ試みだと思いますが、ハッカソンはどのような経緯で企画したのでしょうか?

濱中さん:生成AI BootCampで、バイブコーディングを学んで、すごい技術だと感じていました。ジェレミーさんに学んだことのアウトプットを求められていることもあり、ハッカソンの構想を話すと、「面白い」と賛同してくださったんです。

青木さん:バイブコーディングのツールがあることは知っていましたが、はじめからハッカソンを提案されても、ピンと来なかったでしょう。生成AI BootCampに参加した濱中が、AI活用の全体像をイメージし、経営陣に共有してくれたことが大きかったと思います。

濱中さん:ジェレミーさんからは、ハッカソンの開催には2つのポイントがあると教わりました。セレブレーション(祝典)と明確な評価基準です。そこで青木社長に「青木賞」を選んでもらい、優秀な作品を表彰しました。

青木さん:請求書管理やデータ分析、コンプライアンスのチェックなど業務系のものから、飲食体験の記録や社内コミュニケーションの促進、バナナをキャッチするゲームなど、さまざまなアプリがうまれました。

その後もブラッシュアップして、実際に業務に使っているアプリもありますし、ハッカソンに関係なく、業務に必要なアプリを自分たちで作って、使うケースが増えています。

 

江端:まさしくボトムアップの経営ですね!会社がAIやシステムを導入して社員に使ってもらうのとは、正反対のアプローチです。自分の考えていることがすぐ実現するので、Doleさんの社員の仕事への考え方自体がクリエイティブになるような気がします。

青木さん:確かに会社の雰囲気は変わりつつありますね。あまりクリエイティブに発想するタイプではない、と思っていた社員が意外な才能を発揮したり、間接部門の社員がとてもよく現場のビジネスを考えていることがわかったり。

自発的にどんどん進めてくれる人材が何人かいて、継続してくれているのが素晴らしいと思います。こうした取り組みは、一時的に盛り上がるだけで終わってしまうケースも、少なくありませんから。

濱中さん:今までは解決したいことをIT部門に相談しても、要件定義から予算をとって開発、となると完成までに3〜4カ月は必要でした。その間に現場の状況は変わってしまいますから、そもそもIT部門に声をかけようとも思いませんよね。

しかし、最近ではAIについてのちょっとした相談を、社内でよく受けるようになりました。

まずは経営者がAIを理解し現場を導く

江端 :生成AI BootCampの受講やハッカソンを行う前のドールさんと、同じような悩みを持つ経営者、管理者は多いと思います。そんな方々にメッセージをお願いします。

青木さん:難しいことは、何もありません。まずやってみたらよいと思います。何かきっかけがあれば、今日お話したような、いろいろな発見があります。

そのためにも、濱中のように情熱をもってみんなをリードする人材を、ひとり仕立てることをおすすめします。

濱中さん:私はトップからのメッセージが重要だと感じています。トップがAIをしっかり理解して、大きな方向性を示すことです。IT部門だけが主導する形では、社員を巻き込んだり、物事を進めるたりすることは難しいでしょう。

あとは、ボトムアップで現場の成功事例をつくれば、横展開で広がっていきます。トップとボトムの歯車がかみ合うことが、すごく重要だと思っています。

青木さん:何百万円もかかるAIのセミナーや教育プログラムを、検討している方もいると思います。しかし、社員にAIのスキルを身に着けさせるより、まずは経営陣や主要メンバーが、体系的にAIを理解するべきです。生成AI BootCampなら、数日でAIを体験し、的確に全体像を把握することができます。

※ Jeremy Utley(ジェレミー・アトリー)氏
スタンフォードオンライン&ハーバードオンラインインストラクター。 AI & イノベーションキーノートスピーカー、著者:Ideaflow, The Human Advantage

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