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CM大量投入で驚異の成長を見せるアプリ“755”

皆様は755(ナナゴーゴー)というアプリをご存じだろうか。年末年始にかけて8億円の広告投資を行い大々的にプロモーション展開をしたので、本コラムの読者はテレビCMやWebCMで目や耳にした人も多いと思うが、実際にダウンロードして使っている人はまだ少ないかも知れない。しかし、755は(先日プレスリリースがあったように)ダウンロード数は350万を超えて、タレントの公式アカウントもCMに出演しているAKB 48、E-Girlsなども含め1000人を超える大きな成長を遂げている“新世代”トークアプリである。ユーザーは細かいデータを取っていないので正確なことは解らないということだが、10~20代のユーザーが多く活発に利用していると考えられる。いわゆるスマホネイティブ世代、LINEのUIでコミュニケーションをとる世代が多く活用しているようである。筆者は本アプリに大変興味を持ち経営陣や運営陣に3回のインタビューを重ねてきた。その内容を2回に分けて紹介したい。

あらゆるSNSサービスのいいところ取りのサービス

筆者も755のサービスについて色々調べて、他のSNSなどと比べてみたのであるが、全く新しいコンセプトの今までにないサービスであると考えている。他のサービスを良く研究した上で用途やサービスを絞ったうえに、運営者独自の蓄積されたノウハウが実装されて差別化しているという印象だ。以下、簡単に他社サービスとの比較表を作ってみた。

755は「トーク」が中心のアプリである。「トーク」とはLINEに似たインターフェイスでTwitterのような公開スペースへの情報発信を主にチャット形式ですることだ。ユーザーはアプリをダウンロードして登録すると、お勧めの「トーク」が表示されるので好きな「トーク」を見たり、それに「やじうまコメント」をしたりして楽しむことができる。自分がファンである芸能人や気に入った「トーク」があればそれを「フォロー」ことができる。あるいは自分でトークを始めたり、友達を登録して一緒に「トーク」を始めたりすることも可能だ。

LINEとの大きな違いは“オープン性”で「トーク」は公の場で行うので、プライベートな連絡などには使えない。Twitterとの大きな違いは755では「トーク」ごとに仕切られているので、タイムラインが流れてフォローしている人のトークを見逃すということが無いという。

また、755ではブログのように「見られる側(劇場)」と「見る側(観客)」に完全に分かれており、Twitterのように完全にフラットな世界観ではなく、関係値が決まっているということが他のコミュニケーションツールと大きく違うところである。

755にはさらに普及を広める決定的な要素がある。それが“監視”機能である。そのノウハウは運営会社に51%の出資をしているサイバーエージェント社が“アメーバブログ”で培った、タレントも一般ユーザーもが安心して使えるようにする監視サービスである。755ではNGワードを設定して自動的に不正投稿を検知するほかにサイバーエージェント社が運営する監視センターで24時間常時投稿を目視で確認し、削除するというオペレーションを行っている。その監視には、個人情報や法令違反に関する情報のやり取りや、外部出会い系サイトへの誘導なども含まれており、不正を行ったユーザーに対しては規約にのっとってアカウントを削除するなどの対応策を導入しているという。その他、トークのランキングを表示するなど同社がアメーバブログなどで培ったノウハウとインフラを活用してサービスの成長に貢献しているといえよう。

そもそも755(ナナゴーゴー)のネーミングの由来は?

ここで読者の皆様に質問を投げかけたい。本アプリのサービス名「755」(ちなみに運営会社の社名も株式会社7gogo)はどこから来たのでしょうか?

以下、ネーミングに関してのインタビューの内容をまとめている。

マーケティングする時の語呂の良さ。

同社CMの中で筆者と同じように皆さんもAKB 48やE-Girlsが「ナナゴーゴー!」と叫んでいたのが耳に残ったのではなかろうか。開発に携わったサイバーエージェントの宣伝本部長の野村智寿氏とAmebaプロモーション室の市橋正太郎氏は「サービスのターゲットを10代から20代に想定した時に現在テレビの視聴形態は“スマホのながら視聴”なのでCM作成時には相当“音”にこだわった」という。またサービスのキャッチフレーズである“次世代トークアプリ”と合わせると“ゴーゴー”の語感が勢いを与えたという結果も生んだ結果「製品名のマーケティングに適したネーミングだった」と話している。

UNIXのパーミッションコードを想起させる。

ちょっと技術的な話になるが、サーバーなどに用いられるコンピューター言語UNIXではそれぞれオーナー、グループメンバー、それ以外の人に対して読み込み、書き込み、実行のパーミッションを与えることができるのであるが、それぞれの人に対してパーミッションの有無を2進数で表示する時に755というコードをよく使う。これは、オーナー以外は読み込みと実行ができるが書き込みはオーナーしかできないという意味である。これは厳密には755のサービスとは違うのだが技術者が好きそうなネタであるとファウンダーの堀江貴文氏は話していた。

ファウンダー堀江貴文氏の囚人番号

755のファウンダーであるSNS株式会社の堀江貴文氏はご存知のように長野刑務所に収監されていたが、その時の囚人番号が755番だったということである。しかし、そのことを会社名にしたわけでなく、色々考えているときに上記のように語呂が良く、覚えやすく勢いのある番号としてこちらを使うことを思いついたということだろう。

サイバーエージェントに2013年に入社し、現在2年目の森正樹7gogo社長は「サービス名を色々考えていたんですが、結局“755”で行くことになりました。実際に始めてみると通りも覚えやすさも良く、今回のキャンペーンが成功したのはネーミングもあったと思います」と語っている。(写真は森正樹7gogo社長と堀江貴文ファウンダー)

話が若干脱線した感もあるが、755は今までにないサービスとしてスマホネイティブな社長と経験豊富な経営陣と豊富なネットサービス運営ノウハウのもとにすごい勢いで普及し始めている。次回はこのサービスの持つ可能性と見据えるビジネスに関してレポートしたい。


「755(ナナゴーゴー)」に関連する記事はこちら
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