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ad:tech Tokyo開催に際し改めて考えるオウンドメディアの重要性

【前回のコラム「話題のニュースキュレーションアプリ動向(3)「異彩を放つニュースキュレーションアプリNewsPicks」」はこちら

9月16日から18日まで東京国際フォーラムで開催中の、6回目となるad:tech Tokyo(アドテック東京)では、海外よりAKQA、Twitter、Amazon、AppNexusなどのスピーカーを招聘し、またセッションも本コラムで数回紹介しているキュレーションサービスのものが新たに2つできるなど、国際性や時代の変遷が反映されているイベントである。展示ブースでも話題のヤフー トレンドコースターなども登場するということで、楽しみにしている方も多いのではなかろうか。

本イベントはWhat’s Next in Digital Marketingと銘打っているだけあり、今後のトレンドを見られるというのが売りで各種テクノロジーにフォーカスした内容が多いのであろうが、それらを統合して運用する視点やオウンドメディア活用に関する議論が少ない気がしているのは考えすぎだろうか。

コンテンツがそれぞれ独り歩きする時代に

筆者が最近感じているのは、色々なテクノロジーの登場でマーケティング施策が分断化されてきているのではないか、ということだ。スマートフォン全盛の時代になり、アプリを通じたコミュニケーションが増えたり、動画などを活用したエンターテインメント性の高いコンテンツでシェアによる拡散を図ったり、記事として読まれ消費者に受け入れられやすいネイティブ・アドなどが効率の高い新たな手段として登場して効果が高い方法として語られている。

これらに共通していることは、自分でサイトを持ちそこに外部メディアを通じて集客するといった手法ではなく、顧客のいるサイトにブランドが出向き、その場に適したシチュエーション(接触時の気分)、フォーマット(違和感のない見た目)、コンテクスト(内容やトーン)でコミュニケーションができるということである。これは、TPOに合わせたコミュニケーションを顧客が馴染んだトーンや手法で行うということで、消費者にとって受け入れやすくなると言って間違いないであろう。

このよう施策は間違いなく特定のマーケティング目的に関しては有効であり、特にコンバージョン系では効果の高い施策として注目されているが、施策が独り歩きすることによるデメリットもあるのではないかと考えている。というのも、例えばエンターテインメント性の高い動画は、結果的に商品やブランドへの好意度を高めていない可能性があるからである。

確かにそもそもその商品やブランドの世界観や特性を理解している顧客にはブランドや商品が露出されることにより効果があると考えられるが、同様なロジックは認知が低いブランドや商品では成立しない可能性もある。また、ネイティブ・アドも“知識”として消費者に蓄積されるものの、特定のブランドや商品との関連性が薄くなってしまう可能性も秘めているのではないだろうか。

もう一つ筆者が感じるのは、行動履歴を活用するターゲティングにより、同じ広告が複数回配信されたり、すでに検討・購入済みの商品やサービスの広告が繰り返し出現することである。このようなケースでは既に顧客ではない層に広告費を投入しているので非効率な上に、逆に過剰露出でブランドのイメージを棄損する可能性も秘めているのではなかろうか。データドリブン・マーケティングだけでは“どこに行っても同じ”“どこまでも追いかけられている”感が出てきてしまうのではないか?

そして、消費者は個別の商品やサービスには購入や利用にあたりより総合的な判断をしているということを見逃してはいけない。運用型広告で商品やサービスに当たったとしても、その商品の持つ特性や原材料(成分や原産国など)、ブランド価値観、販売企業や製造企業のもつ世界観やポリシーなどがわからないと、購入に至らないケースもあるだろう。特に昨今はグローバル化による原材料の調達や成分に神経をとがらせている消費者も多い。そのような情報を総合的に判断するためにはどのようにすればよいであろうか?

自社の価値観やマーケティング施策のキュレーションサービスとしてのオウンドメディア

やはり一番有効なのはオウンドメディアの活用であろう。自社のコントロールできる環境でリアルタイムに情報を掲載、更新、変更できるという意味では、他のメディアではなかなか難しい。ソーシャルメデイア上で同様のプラットフォームを構築することを行っている企業もあるが、そのメディアの運用ポリシーが突如変更になったり、今まで無料でできていたサービスが中止、有料になるというリスクが存在し、それを一切コントロールできないからである。

また逆に言うと、各種のコンテンツが独自に拡散されてゆく中であるからこそ、それらを包括し、その商品、関連商品、ブランド価値、企業理念を統一して消費者にコミュニケーションできるオウンドメディアの価値は高まるのではないかと考えている。そのための手法は外部環境で利用できるテクノロジーが進化すればするほど複雑化されてゆくはずであり、この部分は施策ごとのマーケティング施策というよりはその企業のポリシーそのものによる部分も大きい。

理想的にはオウンドメディアも情報を散りばめただけの静的なものではなく、訪問した消費者の特性に合わせて動的に変動する“企業・ブランド・商品情報のキュレーションサービス”として機能させられる可能性があるのではないだろうか。その場に合ったコミュニケーションでオウンドメディアに引き込んだ後に、その人に合ったコミュニケーションを通じていかにファン化していくか、といった議論やそれをサポートする技術の進化を期待したい。

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