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ネットサービスの可能性、ソーシャルグラフで拡大

米SNS大手フェースブックが「fb.com」ドメインを取得してメールサービスを開始するという憶測が出ている。これはグーグルの運営する「gメール」サービスや「Yahoo!メール」、MSNの「Hotmail(ホットメール)」サービスに対して優位なサービスを展開できるという意味でインパクトがあるだろう。フェースブックの持っている「ソーシャルグラフ」(Web上の人の相関関係)を活用してメールのフィルタリングが可能になるからだ。

例えば、友人からのメールやファンページに登録した企業からのメールなどは優先度が高くなり、独自のフォルダに配信されたり、特殊なマークがつくなどの仕分けが可能になる。すでに欧米では、圧倒的な地位にあるフェースブックのソーシャルグラフを持たない企業は不利になるのではとも言われている。日本ではヤフーがmixi(ミクシィ)のソーシャルグラフ活用を明言しており、メールでの活用まで視野に入っているかはわからないが実現するとおもしろいのではないだろうか。

ソーシャルグラフはあらゆる製品やサービスに大きな影響を与える可能性がある。ネットに接続されたテレビには友人の見ている番組情報やコメント、お勧め情報などが表示される。旅番組では「ここに行ったことある」とか「一緒にここに行こう」と話していると旅行会社の関連広告が表示され、その場で予約するなどといったことも可能になる。また、例えばドライブに出かけると、同じ方向に出かけている友人の情報がわかり、その場で落ち合うことも可能になる。あるいはコロプラやロケタッチのようなロケーションサービスと連携すると、カーナビ上にその地域で友人と訪れたことのある場所やお勧め情報も表示され、そこまでの道順を表示してくれるだろう。

市場調査の定義もソーシャルグラフによって変わってくるかもしれない。皆がどのように思っているかや通常のデモグラフィックによる分類ではなく「○○のコミュニティーに属していること」や「誰々をフォローしている人」の傾向などがより重要になってくるのではないだろうか。そして「世間の人のランキング」よりも「自分の友人のランキング」や「ツイッターでフォローしている人のランキング」などが重要になるかもしれない。さらに、マーケティングもソーシャルグラフを活用したものになるだろう。

江端浩人「i(アイ)トレンド」バックナンバー

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