Blog

「ソーシャルメディア文化」めぐる日米の違い

フェースブックなど海外発のソーシャルメディアでは、実名と自分の顔写真を使ってコミュニケーションすることが前提とされている。仕事上の知り合いでも、友人申請をするとその人の家族や友人との写真がそのまま掲載されており、更新されるとその情報が送られてくる「直接表現」型のコミュニケーションが行われている。

一方で、日本では匿名もしくは擬人化した姿(アバターのような分身を含む)をベースにコミュニケーションを行う「間接表現」型が主流だ。国内最大手のmixi(ミクシィ)ではまだまだ実名は少ないし、モバゲータウンやGREE(グリー)のようなゲームを中心としたSNSではより顕著だ。学生のための企画コンテスト「Applim」の参加者に聞いたところ、ミクシィ世代の学生はフェースブックに実名アカウントを設置すると「やっちまった感」があるそうで、大学生の間でもまだ広くは受け入れられていないようだ。

日本コカ・コーラが2007年に緑茶ブランドの綾鷹で「家紋ジェネレーター」というツールを提供したところ、数多くのブログに紹介されるなどヒットした。これは氏名と生年月日を入力すると独自の家紋が発行され、その人となりが紹介されるというものである。その人となりは架空のもので実際の人物とは関係ないのだが、あたかも自分の家紋のごとくブログに張り付けられていた。アバターのように、自分に似たそれらしいものを通じて表現する間接表現が受けているということだろう。

最近筆者が流行っていると感じているツイッターのアプリケーションは「診断メーカー」。ツイッターの自分のアカウントを入力すると、「○○さんを70文字で表すと××」といった判定をしてくれるサービスである。結果はそもそもツイッターにシェアすることを前提として作られており、リンクもあるので誰かが始めるとフォロワーを通じ次々と伝播してゆく傾向が見られる。サービスとしては携帯で流行った「顔ちぇき」と、ヒットの構造は「家紋ジェネレーター」とそれぞれ似ているといえる。

一方で、海外で流行っているのは診断系でもリアルの診断系のものだ。たとえば自分の実際のフォロワー数やつぶやきが再投稿(リツイート)される確率などを計算してツイッター上の影響力を判定するクラウトというサービスが人気だ。このように自分を表す表現手段として、欧米では直接表現型、日本では間接表現型がヒットしやすい。直接表現型のフェースブックやマイスペースが日本でどこまで伸びるかは、この文化を変えられるかどうかにかかっているのではなかろうか。

江端浩人「i(アイ)トレンド」バックナンバー

関連記事

  1. Blog

    『PPAP』に学ぶ!世界に拡散されるコンテンツのヒット要素分析(1)

    ピコ太郎の『PPAP』が世界でヒットしており、話題になっていることは皆…

  2. Blog

    世界的ブームを起こす秘訣!?ソーシャル先行型コンテンツの広がり方

    「マカンコウサッポウ!!!!!」Twitterに発せられた日本…

  3. Blog

    パズドラのヒットに見る新しいゲーミフィケーションの可能性

    大ヒットでガンホーの営業利益は8倍に皆さんは「パスドラ」をご存じ…

  4. Blog

    まだ始まっていない日本航空の「どこかにマイル」の大ヒットを予想する理由

    久しぶりに衝撃を受けたマーケティング施策に出会った、日本航空(JAL)…

  5. Blog

    CM大量投入で驚異の成長を見せるアプリ“755”

    皆様は755(ナナゴーゴー)というアプリをご存じだろうか。年末年始…

  6. Blog

    AI(人工知能)は人類を超えるのか?

    本コラムは前回の「AISASモデル」は、AI(人工知能)時代にどう変わ…

最近の記事 // Recent Blog

会員ログイン // Login

カテゴリー // Category

アーカイブ // Archive

  1. Blog

    震災後のネット利用拡大から見えてきた3つのトレンド
  2. Appearances

    「進化する“シェアリングエコノミー”の未来」 次世代マーケティングプラットフォー…
  3. Blog

    まだ始まっていない日本航空の「どこかにマイル」の大ヒットを予想する理由
  4. Blog

    メディア融合がいよいよ本格化――日本マーケティング協会のセミナーに出て感じたこと…
  5. Blog

    企業アカウントの運用も始めたLINEの人気の秘密とは?
PAGE TOP