PCとモバイル、双方の広告が伸びる
先週フェイスブックのモバイル(含むタブレット)広告売上比率が向上したというニュースが飛び込んできた。同社の本年第2・四半期(4~6月)売上高は18億1300万ドルで前年の11億8400万ドルから53%増加し、モバイル広告が総広告収入に占める割合は約41%となった。最終損益は3億3300万ドルの黒字で前年の1億5700万ドルの損失から利益転換したのである。
同社のPCの広告売上も全体では伸びているが、モバイルやタブレットの世界的な伸長に上手く乗れた形であろう。海外などの色々な報道を見ているとadageの記事などでは同社の成功の要因は広告の境目をなくしたこと(Blurring the line)にあると分析している。この現象を見て筆者は昔より持っていた「クロスプラットフォームのアドネットワーク」時代の到来を見たような気がしてならないのである。
皆さんはマーケティング施策の際にデジタル広告の設計やバイイングをどのように行っているであろうか。デジタルの領域は多岐に渡る。ランディングページの検索順位を上げるSEOや、検索連動広告のSEM、ポータルサイトや各種のバナー広告、スマホやフィーチャーフォンを含むモバイル広告、動画サイトへのポストや動画広告、ソーシャルメディアへの出稿やブロガーへのリーチやPR、編集記事などを含むタイアップやデジタルグッズの配布など多岐に渡る施策を個別に検討して実施しているのが普通だろう。それらの組み合わせを最適化するアトリビューション分析が台頭しているが、それだけですべてを一元管理するのは難しい。場合によってはそれぞれに専門の代理店がいて別運用を行う必要があるだろう。
筆者の考えでは、同一のキャンペーンではこのような施策を統一して運用できる方がありがたいし、計測も個別ではなく統合されて行われる方が効率的だ。当然、媒体によりクリエイティブも違ってくるのであると思うのであるが、その管理やいくつかのクリエイティブを用意するとその中で最適な組み合わせも見つけ出すことが可能ではないだろうか。
デジタル施策のリアルタイムな一元管理を待望
先のフェイスブックの話は、ソーシャルのPCとモバイル広告の運用を合わせただけなのであるが、決算の結果を見る限りではかなり大きな成果を上げたと推測される。ならば全ての運用を一元化して最適管理をリアルタイム化したらどれだけ大きな成果を生み出すことができるのか、想像するだけでわくわくする。しかもそのような世界は技術的には現在は不可能ではない。将来実現される可能性もあるのではないかと筆者は考えるのである。
それの根底にあるのがビッグデータという複数のデータベースを融合させる仕組みであろう。あらゆるデータを計測してデータベースに蓄積してリアルタイムに分析することによりどの媒体にどのように振り分ければいいのかリアルタイムで分かる仕組みができるのではなかろうか。
筆者なりに考えると、この仕組みを理想的に回すためには「リアルタイムで消費者調査(商品認知や購入意向)を行う」ことが必要になってくるが、こちらはソーシャルメディアの分析などでリアルタイムの推測が可能になるかもしれない。そうするとデジタル以外のメディアとの融合も可能になってくるだろう。
金融プログラムのノウハウをマーケティングに
例えばあるキャンペーンをテレビとバナー広告、SEMを認知を最大化するために実施した場合、目標の認知を獲得したら自動的により深い理解をするための媒体の実施や誘導を強化するということをあらかじめプログラムしてキャンペーン中に広告の最適化を実施することが可能になるのではないかと考えている。筆者のイメージで一番近いのは金融の運用プログラムで様々な株式や債券にポートフォリオに投資をして運用することによって運用実績を追求するプログラムに非常に似ている気がしてならない。金融の業界では多大なデータを運用して利益を確保してきた歴史があり、そのようなノウハウが今後マーケティングの世界にどんどん応用されてくるのではないか。ただし、やはりクリエイティブの効果が大きく影響してくるのでそこを指標化できるかということも重要になってくると考えている。