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2012年上半期を振り返る マーケティングとテクノロジーのトレンドは?

いま、7月5日にKey Noteを行うiMedia Brand Summit GOA Indiaに向かう途中の香港国際空港のCathay Pacific Loungeにて本コラムを執筆している。香港国際空港は無料の無線LANがほぼ全てのエリアで張り巡らされており、やはりこれからの国際空港はこのようなサービスが当たり前になるべきと強く感じさせられる。早いもので2012年もちょうど半分を過ぎたので一度振り返ってみたい。

今年の一番最初に書いたコラムで筆者は三つの要素をあげた「2012年の展望: スマートフォン・インターネット、ソーシャルメディアとゲーミフィケーション」それらの要素を振り返ってみたいと思う。

スマートフォン・インターネットの爆発的な伸び

正確な数字の裏付けが手元にあるわけではないが、この半年におけるスマートフォン経由のインターネット接続は飛躍的に伸びたのではなかろうか。MM総研の調査によると国内で本年出荷される携帯電話の過半数はスマートフォンになる見通しということだ。

今後スマートフォンにおサイフケータイなどの利用が可能になるNFC (Near Field Communication:近距離無線通信)など、従来の携帯電話で利用していた機能やサービスが続々搭載されることで、スマートフォンはますます利用されるだろう。そして、スマートフォンに移行すればするほど、“通話”から“通信”へと利用が変わってくるのではないだろうか。通信キャリアー各社もスマートフォン経由のインターネット接続をどうやって処理していくかが大きな課題となっており、このインフラの整備も過去に発生した大規模障害を起こさないようにするためには重要であろう。

ソーシャルメディアの頭角を現した本命:LINE

筆者は“日本では重要なソーシャルグラフは携帯電話の電話帳の中に潜んでおり、今までのソーシャルメディアでは活用されていなかった”と書いてそれを初めて活用したのがCacao TalkとLINEであると書いてその伸びを予見した。そして、2週間前には企業アカウントの運用も始めたLINEの人気の秘密とは?というコラムでも、“今まで携帯電話に潜んでいたソーシャルグラフをスマートフォン上に開放するツールとして注目したい”という言葉を引用している。しかもLINEは私がコラムを書いている本日7月3日にタイムラインやゲームのプラットフォームを発表したのである。

驚いた方も多いと思うが、これは考えてみれば当然の話で、携帯の電話番号という最強のソーシャルグラフを手に入れたことによって、今までのSNSで成功したビジネスモデルを導入してきたということであり、元々親会社のNHN Japanはパソコンのゲームのプラットフォームである「ハンゲーム」を持ち合わせているのだから、ノウハウを活用するのは企業としてもきわめて自然なことだ。日本コカ・コーラもさらに本年最大のオリンピックキャンペーンに向けて企業アカウントの運営は始めており、さらに深くLINEを活用することになっている。詳細は近日中に発表される内容をお持ち頂きたいのであるが、間に合ってよかったと思っている。前々回のコラムでも書いたが、LINEはそうそうにWindows Phoneにも対応しているので東洋を中心にフェイスブックに対抗する勢力に成長するのではないかと思っている。

多くの参加者を募ったゲーミフィケーションカンファレンス

6月28日に東京ミッドタウンのヤフー株式会社セミナールームで行われた「ゲーミフィケーションカンファレンス」は応募が殺到し、キャンセル待ちで定員オーバーだったために当日入場できない人もいたということだ(筆者もアドバイザリーボードになっています)。ゲーミフィケーションという言葉を使わなくても良いくらい、いまや色々な分野に入り込んできており、ソーシャルメディアの伸長をも大きく左右する要素になってきているのではなかろうか。今後も顧客をインターネットから送客するO2O(Online to Offline)の施策にもゲーミフィケーションが多く活用されることになるので、今後も注目に値するだろう。

上半期最大のサプライズはWindows 8、下期に注目すべき新潮流はAlways OnとInbound Marketing

この3つのトレンドは筆者のある程度予想通りに進捗してきたのであったが、全く予期していなかったことも起こったのである。それがWindows 8の登場とそれによるマイクロソフトのビジネスモデルの変革である。スマートフォンやタブレットで大きく遅れを取ってきたマイクロソフトは史上最大の後出しじゃんけんともいえる戦略を打ち出してきた。まず、Windows 8ではパソコンでもタブレットでもスマートフォンでもシームレスに活用できるインターフェィスを出してきた。特にタブレットのタッチパネルを意識したメトロスタイルのインターフェィスは筆者が自作したタブレットを利用する限り、若干の慣れが必要ではあるが非常に簡単でわかりやすい。

さらに、従来の「ソフトウエアとハードウエアの分業」という掟を破って、アップル社のような垂直統合モデルでタブレット“Surface”を発表してきた。着脱式のカラフルなカバー型のキーボードを装備したスタイリッシュな設計になっており、今までのマイクロソフトのイメージを一新する製品になっているのである。Windows 8やSurfaceの発売の時期や価格は明らかになっていないが、冬商戦には参入すると見られるので今から楽しみである。

そして、最近注目され下半期に広まるであろう考え方としては“Always On”と“Inbound marketing”があげられる。スマートフォン・インターネットの広まりによって生活者はいつでもどこでも情報にアクセスすることが可能になり、購入する際などに情報を検索するケースが増えてきている。そのときに自分の製品やブランドの情報が見つからないということでは大きな機会損失につながることになる。自ら情報をPUSHするOutboundではなくて、生活者が能動的に情報収集するInbound marketingでいかにすばやく適切に情報提供が出来るかがより大切になってくるのである。そしてそのためには、常に情報を提供し続ける“Always On”の考え方が重要になってくるのである。このようなマーケティングでは企業発信の情報接触を図る“Reach”や“Frequency”だけでなく、何かしら違う指標が必要になってくるであろう。その指標とともにこのコンセプトがどのように広まってゆくのか大変楽しみである。

江端浩人「i(アイ)トレンド」バックナンバー

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