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企業アカウントの運用も始めたLINEの人気の秘密とは?

LINEの醍醐味は「トーク」機能

前回、今週はWindows 8 Release Previewの使用感(後編)を書くとしていたが、18日にプレスリリースが行われたので、こちらの記事を先に配信し、後編は来週以降に掲載します。

NHN Japanが運営する無料通話・無料メールアプリ「LINE」は2012年6月18日に企業向けに公式アカウントをスタートさせた。今回LINE公式アカウントをスタートさせたのは日本コカ・コーラ、ローソン、すき家、ZIP!、Music Loversで、これらの公式アカウントを「友だち追加」することによって、メッセージなどが受け取れる仕組みとのことである。公式アカウントを開設した企業はメッセージやスタンプなどの仕組みを通じてユーザーと直接プッシュ型のコミュニケーションをとることができる。詳しくは下記のリリースを参照されたい。

NHN プレスリリース
LINE公式ブログ

LINEは昨年11月には全世界で700万人、日本で250万人だったものが、現在では世界で4000万人、日本国内で1800万人の会員を擁する急成長サービスである。対応のOSも広くiPhoneやAndroidに続き6月13日にはWindows Phone向けもリリースし、ほぼ全てのスマートフォンに対応できることとなったアプリサービスで、一旦登録した後はPCやタブレットでも楽しめる構造になっている。

LINEのアプリをインストールするとユーザー間で各種コミュニケーションが可能になる。具体的には「無料通話」と「トーク」である。無料通話はLINEのユーザー同士が「無料通話」機能を使うことで実現される、スカイプなどと非常に似たサービスである(Windows Phoneはサポートされない)。ユーザーは自分の携帯キャリアの無料通話時間帯以外の時間にこの機能を利用する人が多いようである。

無料通話もさることながら、LINEの醍醐味は「トーク」機能にあるだろう。トークをするためにはまず、友達を招待する必要がある、招待するのは一人でも複数でもかまわない。友だちを誘ったらトーク部屋の中でメッセージやスタンプを送ることが出来る。メールのようであるが、コミュニケーションの記録が残っており、履歴が見られることが一つの特徴である。

筆者の分析ではラインの醍醐味で人気の秘密は、「スタンプ」と呼ばれるコミュニケーションツールである。スタンプとは以下の図のように独自の表情を見せるキャラクターの中から今の自分の気分を表しているものを選んで相手に送るのである、メールの絵文字のようであるがスタンプは文字と一緒のコミュニケーション要素にとどまらず、それだけでコミュニケーションが成立するツールであり、LINEのユーザー同士では“文字の無いスタンプだけ”のコミュニケーションをしているケースもめずらしくないのである。このような独自なコミュニケーションが成立するのがLINEの大きな特徴である。ちなみにスタンプには無料のものや有料のものが用意されており、新しいタイトルがリリースされると大きな売り上げがあるという。

近しい人との「あうんの呼吸」が特長

では、LINEではなぜスタンプだけでコミュニケーションが成立し、今、爆発的にサービスが伸びているのであろう。スタンプが“キモカワイイ”というテイストもあるだろうが、テイストは時間の経過により変化する。LINEには他のソーシャルメディアには無いもっと根本的なヒット要因があると考えているのである。

筆者は年初の今年のヒットを占う記事の中でLINEのヒットを予測し以下のように書いた。「今まで携帯電話に潜んでいたソーシャルグラフをスマートフォン上に開放するツールとして注目したい。」ここが一番のポイントであろう。皆様も良く考えていただきたいのであるが、自分の一番ディープなプライベートソーシャルグラフが存在するのはどこか? 携帯電話の電話帳ではないだろうか。筆者はLINEはカカオトークとともにその活用に成功した最初のソーシャルメディアであると考えている。というのもLINEでは携帯電話番号をキーとしており、会員認証はフリーダイヤルへの通話かSMSへ経由で認証されるのである。そして、会員になった後にスマートフォンの電話帳へのアクセスを要求してくる。これは強制ではなくもちろん任意なのであるが、LINEを使いたい場合にはアクセスを許可する友人が会員になったときなど便利なのでアクセスを許可する人が多いようである。

ではなぜ、LINEでのコミュニケーションではスタンプのみで成立するかというと「近しい人」と「あうんの呼吸」で行えるからではないだろうか。自分の携帯アドレスにいる、心理的な距離が最も近いソーシャルグラフだからこそのコミュニケーションで、相手の気持ちが見えるのでスタンプだけで十分コミュニケーションできるのではないだろうか?

筆者は以前からフェイスブックの一番のライバルは携帯の電話帳であると考えていて、そのことを記事に書いたこともある。実名のソーシャルメディアと競合するのは携帯の電話帳でそのコミュニケーションツールである携帯メールは皆さんも到着したら真っ先に開くであろう。さらにLINEには他にも特に日本(アジア)で流行る要素が多く含まれている。例としては「匿名性(ニックネームが使える)」「直接ではなく間接表現が可能(スタンプなど)」「デザインのテイスト」などである。また、トークの機能を利用した多くのサービス例えば「ニュース」「天気予報」「通訳」などがある。

全てのサービスや企業アカウントも擬人化されており、友人のように付き合えるという点も大きいのではないかと考えている。これらの要素を考えるとLINEは特にアジアを中心としたスタンダードになり、実名型、テキスト中心で欧米型のフェイスブックと二分して行く可能性があるのではないか。逆に言うと直接表現で実名に慣れている社会にLINEが進出するのは難しいかも知れない。

先週札幌で行われたInfinity Ventures SummitでNHN Japanの森川亮社長は「今後はゲームのプラットフォーム化していきます」と宣言されていたので、スタンプ販売、企業アカウント開設に続きマネタイズのモデルも着々と構築してきているので非常に今後が楽しみである。しかし、携帯の電話帳という一番大事なプライバシーを握っている以上、情報管理や出会い系などの業者などに注意して発展していただきたいものだと考えているのである。弊社もオリンピックに向けて施策を広げてゆく予定であるので注目しておいて欲しいところである。

(修正履歴)
配信時に「有料スタンプの使用期限は6カ月に設定されている」と記載しましたが、有効期間は原則無期限ですので削除しました。なお、広告主が使用する「プロモーションスタンプ」の有効期限は6カ月に設定されています。

江端浩人「i(アイ)トレンド」バックナンバー
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