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マイクロソフトとフェイスブックの10億ドル規模買収にみる業界再編の加速。

今週、相次いで10億ドル規模の買収が発表された。一つ目がマイクロソフト社による米インターネット大手のAOL広告や検索、電子商取引やモバイルなどに関する800件を超える特許や傘下企業を10億5600万ドルで買収するというもの。さらに売却後も、AOLは広告、ネット検索、マッピングなどに関するその他300件を超える特許について保有し続け、マイクロソフトに非独占的ライセンスを付与するというのである。

詳しい内容は不明であるが、インターネットの大手企業がこぞって入札に動いていたということはかなりの多くの項目が含まれていると考えられ、買収が完了する年末以降にどのような動きが出てくるのか、注目に値する。

そして、二つ目がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)最大手の米フェイスブックによる写真共有サービスのインスタグラムの10億ドルでの買収である。フェイスブックにとって過去最大となる企業買収は、現金と株式にて7月までに完了するといわれている。フェイスブックは約100億ドルを調達する新規株式公開を進行中で、これまで大きな企業買収は手控えてきた。

インスタグラムは2010年秋にスタンフォード大学の卒業生2人が創業したばかりで、現在は社員がまだ十数人であるという。先週にはiPhoneに続いてアンドロイド端末に対応したバージョンを発売し、利用者は合計3000万人を超えたとしている。インスタグラム社は2011年の初頭に時価総額2,500万ドル相当、先月には時価総額5億ドルの第三者公募増資を行っており、短期間で起業価値が40倍になったことになる。

この二つのほぼ同額の買収は金額こそ近いが、あらゆる意味で非常に対照的である。AOL特許のケースは正式なプロセスである入札を経て、時間をかけて多くの大企業が参加したものであり、売る側は可能な限り高い価格で売却できたといえるだろう。買う側も入札額を役員会で承認したものと考えて間違いないだろう。オープンなプロセスを経て決めた金額に関しては、上場企業でも問題となることはない。

一方でインスタグラムのケースのように創業者同士が直接話し合うケースもある。この場合は決定が非常に早い一方で売る側も買う側もベストな価格であったかということがわからないのではないだろうか?また、本件はフェィスブックが上場手続き中であるものの、お互いの会社が非上場であったから可能だったのかもしれない。むしろ本件ではフェィスブックは“スピード”を重視したと見るべきかもしれない。実際に現在Pinterestのような新しい写真を活用したコミュニケーションツールが拡大しているが、それらに対抗するためには自社でサービスの開発を行うよりも、技術を持っている会社を買うほうが近道と考えることができるだろう。動きの早いインターネットの業界では、すばやく動けること自体が大きな競争力になるのである。マイクロソフトは技術や組織を入手する代わりに“実施する権利”、あるいは“競合に実施させない”権利であるといえるだろう。

このように全く違うこの二つの買収であるが、このような事象が頻発するということは業界が大きな変革を迎えているということを意味していると筆者は考えている。日本でもポータルサイトの経営陣交代などが起こっているが、それらはやはりソーシャルメディアの影響が大きいのではないか?一極集中型の大型ポータルの時代から個人分散型のソーシャルへのシフトが進んでいる証拠と考えても良いのではと筆者は考えている。これらの布石ともいえる先行投資が、来年に向けてどのような成果をもたらしているか、気になるところである。

江端浩人「i(アイ)トレンド」バックナンバー
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