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マラソンブームの陰に「お一人様」を支えるソーシャルコミュニケーションツール

仲間と積極的につながる「お一人様」

今、空前のマラソンブームを迎えている。2月26日に開かれた東京マラソンには2万5500人の枠に28万4000人が申し込んだ。その前週に行われた青梅マラソンでも1万7000人のランナーが走っている。マラソン人気には色々な背景がありそうだが、健康ブーム、震災後の節約ブームに加え「お一人様」ブームが考えられる。

今回フォーカスする「お一人様」は、本来は一人で色々な活動を行う人を指しているが、それは本当に一人が好きであるということなのだろうか。お一人様が注目される背景としては、少子化や核家族化、勤務形態、勤務時間の多様化などにより複数の人が一緒に生活・行動する機会が減っていることに起因していると考えられる。今までは一人で入りにくかった業態が次々に「お一人様」需要を取り込むために、「お一人様専用焼肉」や「お一人様専用カラオケ」など新たなサービスに広がっている。

ランナーに話を戻すと、最近は携帯端末のGPSや地図機能を活用して自分のトレーニングを管理するだけでなく、それをソーシャルメディアにつなげて他者と比較をしたり、コミュニティで色々な情報をシェアしたりすることが流行っている。こちらのアイコンはNike+ GPS RUNアプリのものであるが、ランナーは、ランセットアッププロセスで“Get Cheers”のボタンをONにすることで、従来であればランニングのステイタスだけだったフェイスブックへのポストに、「応援コメントをお願いします、それを励みに走ります(“Cheer me on with a comment and I’ll get it on the run.”)」というコメントを追加することができる。ネット上の声援をもらいながら、走ることができるのである。

一人で行動していながら仲間とつながっている。この構図は今まで存在しなかった。自分が今どこをどのくらいのペースで走っているか、仲間からもリアルタイムでわかるのである。そしてそれに呼応するかのようにmixiやフェイスブックでも数多くのランナーコミュニティが存在し活発に交流が起こっているのである。ちなみにNike+ GPSでは3月11日にRun Togetherというイベントを行い、上限2000万円だが、RUN 1kmに対して500円、ツイッター、フェイスブック、mixiへの投稿に関しては1回1円を寄付するというチャリティーを絡めた取り組みを行っている。

「常時接続」でリアルとバーチャルの境目があいまいに

このようなソーシャルを活用した「お一人様」需要はジョギング以外でも増加しており、それはむしろソーシャルコミュニケーションツールがもたらした現象だといえるものだ。

例えば最近の大学生の間では「お家で二次会」ということが頻繁に行われているという。これは一見すると誰かの家に行って二次会を行うといったようにも思えるのであるが、そうではない。皆で集まって宴会を行った後に、帰宅してから再び自宅のパソコンや携帯を通じて(Webカメラを通じたテレビ会議のような形態も可能)飲み会を催すことを指す。そして、それは以前紹介したカカオトークやラインといったコミュニケーションアプリやGoogle+のCirclesといったソーシャルネットワーク経由もあるのであるが、主にスカイプに代表される無料通話アプリを通じて行われているようだ。

このアプリがインストールされたパソコンやスマートフォン、タブレットを持っているユーザー同士であれば、無料で話が出来るということである。バーチャル二次会は飲み会から自宅に帰る途中にコンビニなどで自分のつまみや飲み物を購入した上で家に帰り、好きな時間に参加して好きな時間に落ちる(=やめる)ことができる。最近の大学生は、ルームシェアなど節約をして共同生活をしている人も多く、自宅に友人を連れ帰って二次会というのも難しいのかもしれない。経済的にも安く済み、好きな時間に好きなだけ参加できることは極めて合理的で、いろいろな意味でのリスクも少ないと思う一方で、もっと泥臭い人間関係やしがらみを経験できないという意味で、偏った経験になってしまうのではと心配される方もいるかもしれない。

ただ、デジタルネィティブになればなるほど、リアルの体験とバーチャルな体験の違いがなくなってきているということは言えるのではないだろうか。

江端浩人「i(アイ)トレンド」バックナンバー
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