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地デジ完全移行のもたらす変化とは?パソコンのマーケティング手法が参考に

2011年7月24日(日)正午、岩手、宮城、福島の3県を除く日本全国がアナログ放送を終了し完全地デジ化を果たした。チューナーのないアナログテレビはそのままでは視聴できず、我が家でも持ち運び型のアナログテレビ一台がその役割を終えることになった。

放送業界関係者の話によると、対応テレビがまだ普及していなかった2003年の地デジ放送開始時ですら、その瞬間を見ていた関係者は意外と多かったというが、今回のアナログ停波では多くの視聴者がその瞬間を目撃していたはずだ。その瞬間の全局累計の視聴率がどの位になったか気になるところである。

ちなみに筆者もこの記事は当日の11:30くらいから書き始め、切り替えの瞬間をまたぎながらテレビを5台つけて執筆している。地デジ移行に際してはテレビの買い換え需要で活性化した。特に先週は家電量販店は駆け込み需要でテレビが品薄になり、また総務省や放送局で組織する「デジサポ」には問い合わせの電話が殺到したという。今後も地デジに対応できなかった消費者の問題などが追跡報道などしばらくその余波が続くと考えられるが、その影響に関してマーケティングの観点から分析をしてみたい。

まず、アナログ終了時の全国局の東京でのチャンネル順に番組を見ると、NHK総合は11:59より“そのとき、みんなテレビを見ていた! 「アナログ波・番組終了のおしらせ」”、日テレは11:45から“シューイチPRESENTSテレビ60年「これまで」「これから」カウントダウン”、テレビ朝日は11:59から“2011MAZDAオールスターゲーム 第3戦 直前情報”、TBSでは11:45より“アッコにおまかせ!”、フジテレビでは“FNS27時間テレビ2011めちゃ2デジッてるッ!笑顔になれなきゃテレビじゃないじゃ〜ん!!”を放送していた。正午になると同時に各局のアナログ放送はブルーバックの文字だけになり、終了とお問い合わせの告知が表示されるのみになった。この状況は24日の深夜零時まで継続された。

では、具体的には何が変わるのであろう?

テレビ関係者に聞いたところ、まず時報が変わるということである。今までは毎時0分に「ポーン」という音ともに、あるいは時計の秒針とともに時報が流されていたが、それがなくなるというのである。というのも、アナログと違ってデジタル放送ではデータを受信して画像を生成するので若干のデータ処理時間がかかるからである。受信端末ごとに違うということであるが、現在販売されている機種では2~5秒位の時間がかかるということだ。

したがって、正確な時間を家庭まで届けることができないということで時報をやめるということである。それ以外にもいろいろな変化が起こると考えられるが、それらは今までインターネットのマーケティングで行われていたことが参考になるのではないかと考えている。その例として、「dボタン」などデータ放送の活用、ネット接続による各種サービスのプリインストール、とネット連動について書いてみたい。

まずdボタンに代表されるデータ放送との連携であるが、今までもTBSオールスター感謝祭などで視聴者が参加できる番組は多く存在した。今回は地デジ放送に統一されたことによって、全ての地デジテレビの家庭と番組でデータ放送連携が可能になった。

弊社では早速ジョージアがスポンサーするプロ野球・オールスターゲーム第3戦の中継中に、CM時に自動的にデータ放送を出現させるということを行った。視聴者はリモコンのボタンを操り、ジョージア製品が当たるキャンペーンに応募できるようにしたのである。今回の施策は初めてのことであるのでインターネット上でも賛否両論見受けられたが、いろいろな検証を通じてより企業と視聴者にとっての良い体験となるように実施していきたいと考えている。

デジタルテレビ内へのソフトウエアのプリインストールやバンドル(付属)に関しては今後活発になってくるであろう。現在、パソコンはOSやブラウザー、希望すればワープロなど数多くのソフトウエアが事前に入っている。このことをプリインストールという。記憶にある方もいるかもしれないがWindowsのパソコンなどではWindows 95以前はOSを始め、全てのソフトウエアを自分でインストールするのが常識であった。

やがてこの作業は事前にソフトウエアがインストールされる“プリインストール”によってなくなるのであるが、かつてはパソコンを買っても実際に使用するまではかなりの時間がかかったものである。現在のデジタルテレビもアクトビラなどのサービスを利用するためにはかなり複雑な登録作業などが必要になっており、普及の妨げになっているのではなかろうか。しかし、それもやがて事前にインストールや店頭、あるいは配達時の登録で家についてからすぐ使えるようになるのではないか。筆者は、実はサービスの内容よりもこの登録作業のほうが普及のネックになるのではないかと考えている。

そして、最後にネット連携であるが、たとえデータ連携が進んだとしても放送映像と同一画面での操作や、リモコンでの文字入力は手間や時間がかかりあまり有効なユーザー体験を提供できないかもしれない。なので、たとえいくらテレビのネット連携が進もうとも、やはり他の端末との連携は必要であると考えるのである。

セット型のテレビは簡単な操作以外の入力作業を極力パソコンやスマートフォン、タブレットや携帯に任せるほうが良いのではないだろうか。筆者も実際にテレビでの入力作業は非常に手間がかかるのでほかの端末でできることを願っている。そして、前回のコラムでも書いたが、テレビと一番相性がいいのがツイッターである。自分の見ている番組のテレビ番組のハッシュタグを自動的に取得して自分のツイートに入れてくれて、そのハッシュタグの投稿が自分のテレビのdボタン経由見られるような世の中がもうそこまで迫っているような気がしてならない。

江端浩人「i(アイ)トレンド」バックナンバー
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