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相次ぐサービス導入で「入札型広告」はどこまで普及するのか

広告主、メディア双方にメリットのある仕組み

今やインターネットの一大勢力となったグーグルを支え続けているサービスが、検索連動型広告「AdWords(アドワーズ)」である。読者の皆さんはご存知であると思うが、広告主が自分の入札したい検索ワードにクリック当たりの単価を入力し、表示させたい広告のタイトルと説明文を入力すると表示される仕組みである。同様のサービスとしては、オーバーチュアを買収したヤフーによる「Yahoo!リスティング」があり、これらは一般的にリスティング広告とか検索連動型広告と呼ばれている。この広告のポイントは小規模の広告主でも参加可能なこと、見込み顧客に効率的にアプローチが出来ること、そして広告提供会社も利益の最大化を図れることなどがある。

リスティング広告は審査こそあるものの、最低数百円から実施可能で予算の上限を決めることができ、いつでも掲載・掲載中止ができるということが大きな特徴である。したがって例えばオンラインストアが1個限定で在庫商品を処分するために使う(受注したら掲載中止する)、などという極めて限定的な使い方もできるのである。

そして広告主側はクリックされた時にしか課金されない安心感があり、入札対象とする検索ワード、あるいは除外ワードなどをきめ細かく管理し設定することで見込み客を絞り込むことができるという商品になっている。入札作業もオンラインで自動化されているので、事前審査や掲載する広告文の審査はあるものの、誰でも自由に参加可能な広告市場となっている。筆者も前職では運用を行った経験があるが、季節、曜日、天気、時間帯などによってコンバージョンの成果を見ながら細かく設定を繰り返していたことが思い出される。

また広告媒体にとっても、最適な収入が得られる仕組みとなっている。広告掲載のアルゴリズムは明らかにされていないが、原則入札単価が高ければ上位表示されるのであるが、広告文があまりクリックされないと表示される順位が下がるようにプログラムされているようだ。つまり、予想されるクリック数×クリック単価が大きい広告から掲載されるので媒体側にとっても収入が最大化できるのである。しかも、オークションのように高額入札を誘発するためにライバルのワードの入札単価が表示されるのでなおさらである。

しかも、審査する作業以外は分析も含めほぼ全て自動化されているので運用負荷も少ない。広告主の成果と広告媒体の収入を最大化したこの仕組みが世界中で流行り、その覇者が現在インターネット業界の覇者となっていることは何も不自然なことではないのである。筆者もかつて自分で企業を経営していた際に、この事業に参入しなかったことを悔やんだものである。(次ページに続く)

事業会社の新サービス導入進む

最近デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)とサイバー・コミュニケーションズ(CCI)の2社がディスプレー広告の新しい入札広告サービスをアナウンスしたので注目したい。DACの、高速入札・応札によるインターネット広告の取引基盤を提供する新会社「プラットフォーム・ワン」が4月1日に営業を開始した。アドバタイムズのインタビュー記事では、1回の広告表示ごとに約0.05秒で入札・応札する「リアルタイム・ビッディング」(RTB)システムを目玉に、インターネット広告の取引基盤(プラットフォーム)を提供するという。もともと同社の運用するアドネットワークでの広告は表示単価が決まっており、表示回数の最低限などがあるので効果の面から大企業、スケールの点から中小企業が利用しにくかったという点がある。欧州でサービスをしているIponWebHoldings Ltd.(アイピーオンウェブ・ホールディングス)との戦略的な業務提携により早期のサービスが可能になったということである。

一方のCCIも6月7日に、オンラインアドエクスチェンジ『OpenX Market Japan』のフルサービスの運営、提供を開始する旨の発表を行った。同じく米国OpenX Technologies 社が提供するRTBを導入し、複数のサービスと提携することで効率的な顧客ターゲティングが可能としている。OpenX Market Japanはマイクロアドが提供する、オーディエンスの行動履歴や興味対象などのプロファイリングデータを仲介するデータエクスチェンジ「MicroAd PIXEL(マイクロアド ピクセル)」、オプトの運営するオープンデータプラットフォーム「Xrost」やセプテーニのオーディエンス・マネジメントプラットフォーム「Stamp」においても、自らのオーディエンスデータを利用したRTB での買い付けができるようということである。

しかし、これらの広告手法にはリスティング広告には存在している手軽さが抜けている部分がある、それが広告素材の作成である。リスティング広告では文字を打ち込むだけでよかったのに対してディスプレー広告では画像を作らねばならないのである。限定1個の在庫を処分するためにアカウントにログインして文章を打つことはあっても、画像を用意するとなると非常にハードルが厄介になるのである。したがって筆者は少なくとも当初は小さな広告主の参入は多くないだろうと考えている。

素材確保に問題があるとはいえ、このような動きが国内で活発化してきたのは良いことであると考える。文字・静止画・動画などフォーマットは違えど、デジタル化されネットワーク化された広告の領域では入札方式ということが広告媒体・広告主の双方にとっての効果や収益の最大化につながり、消費者にとっても自分がまったく興味を持たない広告に接触する機会が減ると考えられるからである。そして筆者はいずれデジタル化されネットワークされることによりこのような入札広告がラジオやテレビにも波及するのではないかと考えている。現在深夜番組でショッピングを目にすることが多いが、ネットと連動しているのですでに知見はたまっているのではなかろうか?そうなるとコンテンツの作り方も自然と変わって来るはずだ。大きく開かれているこの分野の進化が非常に楽しみである。

【P.S.】この記事を入稿後に以下のニュース が飛び込んできた。Google、ディスプレイ広告管理ツールのAdmeld買収を正式に発表。詳細は公表されていないが、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルがこの件に近い筋の情報として伝えたところによると、買収総額は約4億ドルという。Admeldは2007年創業の、ニューヨークに拠点を置く非公開企業。Webパブリッシャーと広告主向けに、オンラインの広告ネットワークおよび広告取引市場(Ad Exchange)の利用を管理するツールを提供している。複数の広告ネットワークやDemand Side Platform(DSP)をサポートしており、GoogleはAdmeldの広告管理サービスや技術をDoubleClickやAdMobに取り込むことで、より柔軟に使える広告管理ツールを顧客に提供できるようになるとしている。ついにGoogleがこの分野に本格参入等ことになると大きく勢力図が変わる可能性がある。いずれにしても注目したい分野である。

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