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ドコモ携帯のSIMロック解除がもたらすインパクト

日本の携帯の歴史で大きなインパクト

東日本大震災の当日(3月11日)に、NTTドコモが今後の携帯市場を大きく左右するかもしれない発表を行っていた:「NTTドコモ(以下ドコモ)は、2011年4月1日(金曜)以降新たに発売する端末に、原則SIMロック解除の機能を搭載し、お客様からのSIMロック解除のお申込み受付を開始いたします」(NTTドコモ報道資料より原文)というものである。

そして第一弾として、4月下旬に「らくらくホン」が発売される。このニュースはあまり大きく報道されていないが、日本の携帯の歴史の中では非常に大きな出来事である。今までの発展と今後のゆくえを占う意味でもここでその歴史を振り返ってみたい。

従来日本の携帯電話は、本体と通信プランがセットになった方式であった。携帯端末の普及期にはこの仕組みを利用して、通信キャリアが一定期間の通信契約を約束させることを前提とした「販売奨励金」を販売店に出すことにより、携帯電話の本体価格を無料にする、いわゆる「ゼロ円携帯」が流行っていた。当時は通信業者を一定期間(2年程度が一般的であった)固定することにより、本体価格をその通信料に組み込む方式をとっていたために可能だったスキームである。

そして、当時は通信事業者を変更するには番号を変更しなければいけないので、キャリアの移動があまりなく、サービスの中心がいわゆるキャリアの認定業者が提供する「公式サービス」であった。1カ月数百円で色々なサービスが受けられる気軽さも手伝って「公式サービス」は急速に普及し、キャリアごとにその特色を出していたために携帯電話を選ぶときの大きな要因になっていた。筆者はこれらが第一次携帯普及期の特徴と言えるのではないかと考えている。特に日本はこの構造が守られた環境の中で行われていたとして「ガラパゴス」と揶揄(やゆ)されてきた。

携帯SNSなどの普及を後押しした番号継続制度

第一次携帯普及期の構造が大きく変わったのが、2006年10月に導入されたモバイルナンバーポータビリティ(MNP=番号継続制度)、つまり同じ携帯番号を引き継ぎながら、通信キャリアが変更できる制度の導入である。

このMNPがもたらした効果は大きかった、特にサービスの中心が携帯キャリアの「公式サービス」から、通信業者を越えた非公式サービスへの移行である。現在、普及している携帯電話のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)はこれに当たる。この第二次携帯普及期を代表するサービスを挙げると、ソーシャルではモバゲータウンやGREE、mixiであり、情報系ではウェザーニュースやナビタイムなど、そしてインフラ系ではモバイルバンキングやSuica(スイカ)、Edy(エディ)、iD(アイディ)に代表される電子マネーなどが挙げられる。

通信と端末をそれぞれ選べる「世界標準」への一歩

筆者はこのSIMロック端末の浸透は、スマートフォンの普及とあわせて第三次携帯(端末)普及ブームをもたらすのではないかと考えている。そしてこの変化はひょっとすると今までの普及期よりより多くのインパクトを与える可能性があると考えている。

その理由は、「通信」と「端末」が完全に分離されるという根本にかかわっているからである。そしてこれは日本にとっては初めてのことであるが、実は日本以外の国のほとんどがこの構造を保ってきた世界標準であるということである。端末のメーカーはSIMカードを差し替えればどのキャリアでも使える仕様を保ってきた。つまり、消費者は「携帯端末の選択」と「通信業者の選択」の両方ができる状況になるのである。特にスマートフォンの普及とあわせた相乗効果がキャリアの勢力図までも大きく変えるかもしれない。

今回のNTTドコモの仕様は、ソフトバンクの通信プランは利用できるものの、通信方式の違いからKDDI(au)とは互換性がないということである。したがってまだ真に互換性が担保されたわけではない。しかし、世界中のメーカーが標準としている仕様を日本最大の携帯通信業者が導入したインパクトは徐々に明らかにされると考えている。

江端浩人「i(アイ)トレンド」バックナンバー
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