Blog

「タイガーマスク運動」を加速させたWebの影響力

「匿名の善意」に共感した日本人

「タイガーマスク運動」が全国に広まっていることを聞いて、心温まる思いをした人は多いのではないだろうか。この運動は、昨年の12月25日に前橋市の児童養護施設に10個のランドセルが匿名で送られたことが発端のようだ。このことが報じられてから、マスコミやWebで話題になり、全国へ波及した。送り主名は「伊達直人」。アニメの「タイガーマスク」の主人公で、自身も児童養護施設で育ちプロレスのファイトマネーを寄付する人物を名乗ったものである。

瞬く間に運動が全国に広まった背景には、ランドセルを児童養護施設に送るという具体的で分かりやすいストーリーに加え、インターネットが大きく影響しているといえそうだ。一地方の出来事として発信されたニュースがツイッターなどを通じて広がり、それに共感した人が自分の近くの児童擁護施設を検索してランドセルを購入して届け、それがさらにニュースになり拡散していったと考えられる。

また、全都道府県の施設に広がったのも、インターネットの検索で施設の住所が簡単に入手できたからであろう。特定キーワードの検索動向がわかる「グーグルトレンド」で調べてみると、「タイガーマスク」はパチンコの新台登場などで以前も短期的に盛り上がることはあったが、「伊達直人」に関してはこのニュース以降急に検索されてきていることがわかる(図表参照)。

「実名主義」フェースブック、日本での普及スピードは?

そして、もうひとつの特徴が匿名性である。海外では、たとえばビル・ゲイツやウォーレン・バフェットのようなお金持ちが57人で総額13兆円もの寄付を行うとのニュースがあったように、多くの場合寄付行為はオープンである。あるいは、宝くじで億万長者になると記者会見を開いたりする。日本では高額宝くじの当選を実名で発表することはまずない。今回のタイガーマスク寄付は全て匿名であり、そのことが美談として広まりに拍車をかける要因にもなっている。

米フェースブックのザッカーバーグCEOの半生を描いた映画「ソーシャル・ネットワーク」がいよいよ日本でも公開された。世界で5億人ものユーザーを持つこのサービスが日本でも大きな話題となることは確実で、その普及に注目が集まっている。もっとも、フェースブックは実名でのコミュニケーションが前提だが、日本人の「匿名好き」を裏付けるような今回のニュースを見ると、それは一筋縄ではいかないかもしれない。今後の動きにぜひ注目したい。

江端浩人「i(アイ)トレンド」バックナンバー
もっと読む

関連記事

  1. Blog

    インドのiMedia Brand Summitで感じたこと。

    電気のありがたさをインドで実感インドのゴアで7月5日に開かれたiMe…

  2. Blog

    #家で楽しもう #家で働こう を投稿しませんか? #Enjoy work at Home #Enjo…

    【ご提案】今週末に向けてメッセージにハッシュタグを付けませんか? #家…

  3. Blog

    MWC 2015、SENSORS IGNITION2015から見えてきたIoTとSoTの関係

    先週は非常に示唆に富む2つのイベントを体験することができた。1つ目は”…

  4. Blog

    商談に効く、売り場の取れるデジタル施策とは?

    広告キャンペーンの効果は“ブランド価値(認知)向上”や“購入意向の向上…

  5. Blog

    “755”のビジネスモデルは「これから」 まずはメディアとしての地位確立へ

    前回のコラムが掲載された翌日の1月29日に“755(ナナゴーゴー)…

最近の記事 // Recent Blog

会員ログイン // Login

アーカイブ // Archive

  1. About

    iUにて人気のeスポーツ:PARAVOXのオフィシャルWatch Partyが実…
  2. About

    AI投資、回収できていますか? 7月28日「AI実装経営の改革セミナー」に登壇し…
  3. Blog

    ジェネレーションGの登場により、コミュニケーション構造は変わるか?
  4. Blog

    「タイガーマスク運動」を加速させたWebの影響力
  5. Blog

    コトラー・フォーラム2014に参加して(2)
PAGE TOP

江端浩人事務所 -Hiroto Ebata International Office-をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む