Blog

オリンピック中「旅行をするな」と訴える英国航空の広告

英国選手に「ホームアドバンテージ」与えるキャンペーン

ロンドンオリンピックも終盤に差し掛かっており、多くの競技でメダル争いが展開されている。報道されているように、ロンドンの街中はあまり混雑していなく、一部の有名レストランを除いては席に余裕があるようだ。ロンドンは電車が発達しており、車の規制が激しいため道も空いている。タクシーの運転手も「思ったより車が出ていなくて運転しやすい」と話していた。そのような現象に一役買ったのかどうかはわからないが、オリンピック中の英国航空の広告キャンペーンが変わっていたので紹介したい。

航空会社である英国航空がオリンピックに合わせて行っているキャンペーンはHome Advantage(ホームアドバンテージ)というもので、“Don’t fly, support Team GB”(飛行機に乗って旅行をしないで、英国の選手を応援しよう!)というものである。航空会社なのにDon’t Flyといっているのが印象的な、逆説的なキャンペーンだ。英国航空はこのキャンペーンをかなり大々的に展開しており、テレビや交通広告はもちろん、インターネットやオリンピックパーク内のパブリックビューイングなども主催している。

ホームページには以下のように書かれている。

This Summer, the greatest sports event on Earth comes to London. And our best sportsmen and women have a once in a lifetime opportunity, to compete at the highest level with the whole country behind them. That’s why we’re asking the nation to join together, to give our athletes the greatest home advantage we can give them. It could be the difference between silver and gold. This Summer, there’s nowhere else in the world to be.

この夏ロンドンに地上最大のスポーツイベントがやってくる。そして我々の最高のスポーツ選手たちが一生に一度の最高の舞台で、国中のバックアップを受けてその技を披露するのだ。そのため英国航空は国家が一致団結して、彼らにホームアドバンテージを与えることを提唱している。その応援こそが銀と金の違いになるかもしれないからだ。この夏は他にいるべき場所はないのだ。

Flying during the games?
If you are flying with us during the Games, we are operating a full service as normal and we’re giving you every opportunity to get behind Team GB and ParalympicsGB while on your travels.

大会中に飛行機で旅行する?
もしあなたが大会中に旅行をする場合には我々は通常通り運行し、さらにあなたが英国オリンピック選手団(Team GB)やパラリンピック選手団を旅行中でも応援できる機会を提供しよう。

キャンペーンのサイト

「ホーム(家、本国)にいないとホームアドバンテージにならないよ」という広告

英国航空主催のパブリックビューイング

「収益下げて好感度高める」広告の効果をどう見るか?

テレビコマーシャルは1分の長尺で、英国航空の機内に搭乗した観客がロンドンの街中を抜け、オリンピック競技場に着くというものになっている。また、サイトやフェイスブック上で自分の住所を入れるとそこに飛行機が飛んでいるかのような演出をする仕掛けも用意されているようである。

確かに考えてみると、自国開催の場合には“海外旅行をしましょう”とは、航空会社、特にオリンピックのスポンサーである場合には言いにくいだろう。場合によっては“非国民”扱いを受けてしまうかもしれない。ただ、積極的に“Don’t Fly”という言葉を使い、期間限定ではあるが自らの収益を下げてでも、愛国精神を使って企業の印象を上げようという試みはうまく機能するのであろうか? 同じくスポンサーであるコカ・コーラのように大会期間中に商品の消費が最大化するような商品ではなかなか考えられない手法なので、その効果がどのように出るのか非常に注目しているのである。

「彼らをより早くするためには叫ぶことだ」という電車内広告

次回は22日(水)に掲載致します。

江端浩人「i(アイ)トレンド」バックナンバー

もっと読む

関連記事

  1. Blog

    「ソーシャルメディア文化」めぐる日米の違い

    フェースブックなど海外発のソーシャルメディアでは、実名と自分の顔写真を…

  2. Blog

    震災後の消費者意識の変化が明らかに

    多くの人が情報の「発信側」に回った筆者が以前のコラム「震災後の情報リ…

  3. Blog

    国内でもスマートフォン・タブレット端末向けの施策が本格化の兆し

    米市場調査会社IDCが3月29日に発表したスマートフォンの世界市場市場…

  4. Blog

    話題のニュースキュレーションアプリ動向(3)「異彩を放つニュースキュレーションアプリNewsPick…

    前回、前々回のコラムでは、ニュースキュレーションアプリが伸びており…

  5. Blog

    デジタルマーケターの台頭とその課題

    最近デジタルマーケティングの潮流が変わったと思っているのは私だけであろ…

  6. Blog

    Windows 8は旧来のイメージを刷新できるか?

    起動の速さに驚きマイクロソフトのWindows 8 Consumer…

最近の記事 // Recent Blog

会員ログイン // Login

アーカイブ // Archive

  1. Blog

    昨年のニュースキュレーションアプリに匹敵する伸びを見せるか? 2015年は音楽定…
  2. Blog

    進む情報の透明化と企業の自社メディア活用
  3. Blog

    レコチョクがスマートフォン向け音楽サービスを次々と展開 その歴史を検証する
  4. Blog

    学び直し【Unlearning & New Learning】
  5. AI

    25個のAIボットに街を提供したらは彼らはバーで交流し、パーティーを開きました。…
PAGE TOP