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デジタルテクノロジーの進化がもたらす“競争”から“共創”の時代への変革

皆様は“共創”という言葉を聞いたことがあるだろうか。見ての通り「共に創る」という意味であるが、音(おん)は意味の相反する“競争”と同じなので「“競争”から“共創”へ」という語呂がいいことから今後使っていこうと考えている。調べてみると古くは1996年に「パートナーシップ・マーケティング 時代は『競争』から『共創』へ」(ビジネス社、片山又一郎)という本が出版されているのに驚かされる。96年当時はまだインターネットが普及し始めたばかりであるので、現在のネットの動きを予言したわけではなかろうが、最近の色々な動きを見ているとまさに“共創の時代”といっても良い事例が次々と出てきているのではないかと思う。以下に事例を挙げてみたい。

Yahoo! JAPANの新経営陣による爆速経営がもたらす“共創”

本年に入り新経営体制を構築してきたYahoo! JAPANであるが、“爆速”というコンセプトを経営に取り入れ立て直しを図っている。ここにきてその成果が如実に表れている。10月10日以降の1カ月だけでも主だった発表を8件も行っており、そのすべてが“他社と共同”すなわち“共創”によるものなのである。下にまとめた表を記載したが、そのスピードとスケールが読み取れる内容になっていると思うがいかがだろう?

“共創”は経費削減のリストラ効果を狙うのではなく、スピードと競争力をもたらす

上記の中には資本提携や業務提携が多く含まれているのであるが、それらは他の業界で起こっている業績の低迷や業界の競争過多によるものとは本質的に違うことが読み取れないだろうか? つまりほかの業界で起こっているのは再編が多く、共創とは言いにくい。それらはむしろ「時間」というリソースを最大限有効に使うためということであろう。その上で互いの顧客基盤やサービス基盤を融合させて、より大きな市場を形成してゆくものである。将来に向けての市場が見えている分野においては、自社ですべてを開発するよりもその分野ですでに活躍している企業と組むほうがはるかに早く、お互いにリスクも少なく新規のサービスを立ち上げることができる。もちろん自前主義を貫いて高収益を保っている企業もあるが、それらも分野ごとの“共創”が進むにつれ競争力の変化を感じざるを得なくなってくるのではないだろうか。

共創は今こそ有効な手段ではないだろうか

断っておくが、筆者は“共創”が最近になって始まったと考えているわけではない。インターネットの歴史はある程度“共創”の歴史ともいえるだろうし、インターネット以前にも“共創”はあったと考える。今“共創”が有効なのは、PCやスマートフォンのような“オープン”なプラットフォームが普及してきた為に、i) テクノロジーが融合しやすくなり、ii) 技術やサービスの組み合わせで新しい価値観が生まれやすく、結果として急激に大きくなるサービスが出ているからであろう。このような競争環境の中では開発力を含む組織を徐々に大きくしてゆくという戦略では間に合わないので“共創”のほうが適しているのではないだろうか。

また製品やサービスのライフサイクルが短くなっている中で、会社の投じるリソースを最適化できるのでリスクの回避にもつながっていると考えられるのである。さらには、今までは変革の必要性に迫られていなかった“業界トップ”の企業同士の“共創”も増えることが予想される。今後も色々な分野で続々と“共創”が行われていくと考えており、その動向を見守っていきたい。

江端浩人「i(アイ)トレンド」バックナンバー

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